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欧米におけるOPEXの潮流と日本における必要性ーその1



製薬イメージバレオコン・エグゼクティブ・セミナーも期日が迫って参りました。セミナーを開催するにあたり、じほう社<PHARM TECH JAPAN>2015年1月号・3月号に掲載していただいた、弊社メンバーによるオペレーショナルエクセレンス論考をこれから数回に渡り掲載してまいります。

セミナーにご参加予定の皆様も今後のご参加をお考えの皆様もぜひご一読いただければ幸いです。

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欧米におけるOPEXの潮流と日本における必要性           

“OPEX for Pharmaceutical Industry : Trends in Europe/US and Necessity in Japan”

 By 石川忠幸,鈴木正隆, 太田信之

はじめに

本稿では,欧米,インド,中国の製薬,医療機器メーカーなどで取り組まれているオペレーショナルエクセレンス(海外ではOPEXと称されることが多い)の紹介を行う。

OPEXとは,文字どおりこうした会社内すべての「業務(オペレーション)」を「秀逸なもの(エクセレンス)」にしようという試みである。それは規制に対応するというレベルを超えて,「今の業務(後述するが,「経営」も業務の1つとしてとらえるところがOPEXの特徴である)をより良くするために何をするか」という変化を起こす考え方であり,方法論である。

 まず製薬企業の現状,特に製造拠点が置かれている環境にすこし目を移してみたい。

 日本当局のPIC/S加盟とともに,医薬品製造の現場はますますグローバル標準への対応が求められている。ICH Q8(製剤開発),Q9(品質リスクマネジメント),Q10(医薬品品質システム)に加えて,Q11(原薬の開発と製造)等の各種ガイドラインについても,その解釈と対応に追われているのが現状であろう。

 定性的な表現であるが,こうした各種ガイドラインに準拠すべく業務を進めていると,ともするとすべてを決められたとおりにすることが業務の第一優先になってくることもあるのではないだろうか。一方で,欧米のメガファーマ,インド,中国ではOPEXという考え方を持ち込み,各種規制やガイドラインに対応するなかでも安全・品質・効率の全体バランスを達成するための活動に取り組んでいる企業もある。外資系も含め,日本に製造拠点を持つすべての製薬企業が,これからさらに大きな変革に立ち向かうことになる。その舵取りの役に立てていただきたいという一念から本稿を執筆した。

OPEXが必要とされる背景

 OPEX導入の背景として,2011年に著者の1人が本誌で指摘したときと環境は変わっていない1。その際記した環境変化は,M&A等を通じたメガファーマ誕生の一方で,その結果が新薬開発に結びついていないというものだった。その状況は変わっていない印象を受ける。そして,日本だけでなくグローバルにパテントクリフが製薬企業の経営に影響を及ぼしている。

2014年になってからは,ファイザーがアストラゼネカの買収を試み,合意には至らないものの再提案をするとの憶測も流れている。こうした巨大化のためのM&Aの一方で,GSKとノバルティスの間で,GSKの抗がん剤事業をノバルティスが買収,ノバルティスのワクチン事業をGSKが買収,OTC事業は統合という内容でのM&Aが検討された。これまでの巨大化とはすこし質を変えたM&Aの提案だが,これはさまざまな医療分野での変化をも反映しているようだ。

一方医療分野では,これまでにない変化が起きている。再生医療などの先端技術を駆使した個別化医療等,新規のノウハウや技術を用いた医療技術が生まれ,細分化された患者ニーズへの対応が可能になる等,製薬企業の経営に新しいインパクトが生まれている。

こうした変化のなかでも,製薬企業には株主からの財務的な要請,安全,品質の要請,各国の規制当局(安全,品質)や社会保障予算からの制約要因(薬価の下落)という複雑な経営環境のなかで,一見矛盾するような要請のすべてを調和させる経営が求められている。

このように複雑な経営環境のなかで,患者のために薬を「創って」,「作って」,「届ける」という基本的な業務をしっかり回すための経営力,現場力は欠くことができないものである。現場での詳細な作業から,中間管理職の行う伝達,資源配分,人材育成,経営陣の行う明確な方針の策定と決定など,会社内のさまざまなレベルでの業務の高度化ができなければ,今後の経営環境への対応はできない。

OPEXという言葉は,冒頭で説明したように「業務」を「秀逸にする」という概念である。そのために必要なツールは各企業が考え,最適と思うものを導入すればよい。日本が誇る製造業の現場改善は「カイゼン」という言葉になり,今や外国の製造業や,製薬業界の製造拠点でも通用する概念となっている。

そしてカイゼンを方法論としてとらえると,QC,TQMにはじまり,シックスシグマ,制約理論等さまざまな方法論がある。OPEXといわずとも,問題解決力のある企業は自分たちの経営課題の解決に最適なツールを取捨選択し,自社内に広めている。どの方法論が優れているかという議論を超えているといえよう。目的を達成するために必要なツールを選んで,自社で使いこなせるように消化し成果を出す,というあたりまえのことを行っている。

「業務を秀逸に行う」という基本そのものに反対できる人はいないであろう。そして,各社ともにさまざまな方法論を吟味しながら,各社ごとの固有状況や目的に応じて自分たちなりのOPEXを定義し,社内に展開する。これが欧米各国で行われているOPEXである。(続く)

■注記

1)太田信之 「製薬業界におけるオペレーショナル・エクセレンス 第1回製薬業界におけるオペレーショナルエクセレンスとは」Pharm Tech Japan Vol.27, No.4(2011), pp35-41

 

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